【北海道5区補選】TPPにYES!というメッセージを送った北海道の衝撃










あっけない当確速報だった。
町村信孝氏(元外相/前衆議院議長) 失職に伴う衆議院・北海道5区補選の投開票が24日行われ、新人の和田義明氏(自民党公認/元商社員・元 議員事務所秘書)が同じく新人の池田真紀氏(無所属/社会福祉士)を破り、初当選を果たした。

今回の補選は、平和安全法制 成立後、行政府・与党が国民の審判を受ける初めての機会だった。マスコミが傾聴すべきは57.63パーセントという高い投票率である。「与野党一騎打ち」という構図が、連日 北の大地に党首クラスの政治家を呼び寄せ、解散総選挙と そうかわらない世論注視となったのだ。

和田義明氏は NHKニュースの当確速報を待って記者会見し、「北海道を世界に売り込むセールスマン役を務めたい」と述べたという。マスコミは5区を「自民党の地盤」と紹介するが、2009年衆議院総選挙 5区の当選者は民主党公認・小林恵美氏だった。和田氏の養父にあたる町村信孝氏を僅差で破った「民主時代」のシンボリックだった。ところが、日本教職員組合が絡む政治献金事件で彼女は辞職している。この事件が「民主 政変」(2010年5月)の前触れだったわけであるから、北海道の有権者が「女性候補」の池田真紀氏にマイナス票を与えた可能性が考えられる。



それでも、北海道はTPPにおける不毛地帯だ。 行政府・与党がTPPの今国会中の承認を やめざるをえなかったとしても、「自民党」公認の名がつく候補者を代表者に選出してしまっては、「北海道はTPPにYES」という誤ったメッセージを送ってしまう。「安全保障法案の理解が得られた」とする言説が流れているが、そのレトリックを借りるなら、「TPPの理解が得られた」である。





民主党民進党)元政調会長細野豪志氏は、この結果により、社民党や生活の党を野党共闘の蚊帳の外として否定する「中道主義」を ますます取るだろう。だが、「オール野党」が 成立しなければ 和田義明氏と池田真紀氏の選挙戦は話にもならなかったわけである。北海道新聞社の世論調査で池田真紀氏が一時期 2ポイント 上回っただけに、はっきりいって「オール野党」は互角だ。仮に細野豪志氏が「中道主義」を 派閥や党内部会において 跋扈するのなら、民進党執行部は自誓会の派閥解消を迫るべきだろう。





和田義明氏が僅差で初当選を果たした最大の要因は、選挙戦中の熊本地震にあるとみてよい。昔から「大災害は与党に有利」と呼ぶ。テレビ各局のニュース・バリューにおいて北海道5区補選は5位以内に入っていたものの、震災後は その関連報道が1位〜5位までトピックスを占有していたという。北海道5区の区域には駐屯地がある。「北海道は国を引っ張らない」意思はよくわかったが、「北海道はTPPにYES」という『意思』(そんなことは ないが)も また わかった。行政府・与党は そう解釈する。