【再掲】社民党存続へ動いた『ミス個人票』谷亮子

党存亡に拍車がかかった。

社民党党首・吉田忠智氏（参院議員）が目指すのは「現役党首落選回避」とされる。党役員会で放った民進党との「合流矢」は あっさり潰えた。

彼方へ 飛んでしまったが徘徊中だという。

110万集票力の社民党は、現状では たったの1議席しか、国会議事堂の座席を戴くことができない。むろん、その争奪戦は、与野党が一気呵成の勢いでモードに突入した参院選をさす。

〈　社民党と生活の党と山本太郎となかまたちは、参院選比例区で「統一名簿」をつくることで合意した。民進党にも呼びかけ続けるが、協力が得られない場合は２党で作る。社民、生活両党党首が５月３１日に東京都内で会談して合意した。〉（6月2日「朝日新聞デジタル」）

ライバル・民進党に塩を贈ったとみてよいだろう。その名称に旧党名「民主」と支持母体の「連合」を ドッキングしてしまう名簿案「民主連合」だ。

素人目には「社会」と「生活」をドッキングし、「生活・社会」に納めてしまうのも手っ取り早いと思える。
どうにもかしこ、永田町の「センセイ方」には申し訳ないが、「生活・社会」は わりといい機会だ。18歳選挙権をまるごと迎合し、この世代に特化する。そうして「学生政党」の趣 を怪訝にアピールできるからである。

なぜなら、比例区における前回 選挙（社民党は2014年衆院選／生活の党は2013年参院選）で 拾い集めた合計票は 約200万票、この数は18歳選挙権の導入によって くわわる新・有権者240万人に匹敵する。

党存亡の極め付けは、内閣不信任案をめぐる国対幹部の態度だった。〈野党４党は提出理由について、安全保障法制を強行成立させ、憲法改悪を推し進めている▽アベノミクスの失敗▽国民の声に耳を傾けない強権的な政治――の３点を挙げた。民進の岡田克也代表は会談後、「消費税の引き上げ延期は、アベノミクスの失敗以外の何ものでもない」と語った。〉（30日「朝日新聞デジタル」）

不信任案 第1点に「憲法改悪」を挙げたわけだが、驚くべきことに、数日前まで尻込みしていたのがまたの名を「護憲連合」こと、社民党だったのである。〈社民党の又市征治幹事長は２６日の記者会見で、民進党など野党４党による安倍晋三内閣に対する不信任決議案の今国会提出について、慎重に対応すべきだとの考えを示した。「首相に衆院解散の大義名分を与えかねず、慎重に判断しないといけない」と述べた。〉（26日「産経ニュース」）

選挙で 与党を過半数割れに追い込むのは 「野党の役割」だ。ひいては、任期満了をのぞいた首相の解散総選挙は その絶対条件であり、だからこそ、民進党は 野党時代の2009年、早期解散の動議を そぞろ かけているのである。「解散の大義を与えかねない」社民党も この動きに 賛意を示した紛れもない史実がある。

吉田忠智氏の放った「現役党首落選回避の合流矢」が潰えた 社民党は、党存亡にあたり、某税率と同様、総選挙の時期を先延ばしたいわけだ。そうだ。微塵も欠片もない「野党の役割」である。

71年目の老舗政党は そういったご惨状でござる、と書かざるをえない。

ちっちゃなオリーブの木を植樹する お相手は生活の党、比例区で取り急ぎの タレント現職候補・谷亮子氏（生活の党）というから、日ごろ勤勉な党員は たまったものではない。3番手の吉田忠智氏は両党合計票だけでは落選となる公算だが、「現役党首落選回避」のため いっちょう「山が動いた」ならぬ再び「谷が動いた」（※参院選 立候補見送りを表明）は さしづめ有りそうにないのだ。