「働き方改革」は民進党支持母体「連合」を引くエサだった!

 

 

 

 

 

 


日本一の団体・組織とされる「連合」が、民進党に揺さ振りをかけている。50パーセントの安定した支持率の安倍晋三内閣を迎えるにあたり、新代表の蓮舫氏を「蓮の花の下で支えるレンコン」たるべき役割を期待されているが、足元では自民党本部を「連合」の会長が直々に訪問するなど、敵方との蜜月時代を築こうとしているのだから おぞましい。


この潮流は安倍晋三内閣の強かな経済政策による。月々の給与のベースアップを 経営者側に求めた 模様はさながら「官製春闘」とも揶揄された。労働者の代表が待遇改善を叫ぶのが55年体制だったのに、労働者の代表に代わり、いや先回って話を付ける統治スタイルとなった。また、今国会の懸案材料ともなっているTPP原発再稼働や消費増税をめぐって、安倍晋三内閣と「連合」のコミニュケーションは風通しがよく、捉え方によっては 「ねじれ」がある。

 

「ねじれ」は新潟県知事選挙で如実に現れ、失地につながった。柏崎刈羽原発の再稼働に及び腰だった泉田県政の後継を選ぶ選挙で、自公と「連合」が推したのが再稼働派とされる前長岡市長の森民夫氏だった。民進党は、あろうことか、「再稼働阻止」で野党各党が推した米山隆一氏を見捨る。当選したのは ゴミ箱から這い出た米山隆一氏の方だった。どの候補も支持しない。この自主投票は、参院選新潟選挙区で生活の党(自由党)籍の森裕子氏を野党共同候補に推し、僅差での勝利を果たした、前任の「出来る限りの選挙協力をする」という4党間の合意に反す。誰がどうみても安倍晋三内閣を利するはずだが、「連合」は、民進党の中の議員を ぶっきらぼうに操っており、意に返さない。

 

 

たださえ民進党の議員の過半数は事務所スタッフを「連合」が丸抱えするし、ある種、肉体労働にあたるポスター貼り だって全国網で これを展開するのは「連合」の一存。ジリ貧する党員数や党財政と相対し、「連合」の発言力は自ずと強化されそうなのだが、「連合」は加盟員のその家族を合わせ800万票の組織力は数えるものの、参院選比例区しかり、下部の構成員が民進党を支持していないことは明らかである。つまり、大企業に勤める会社員にとって「良いこと」をする安倍晋三内閣を消極的ではあるが支持している。具体例では電力系、安倍晋三氏の出身の神戸製鉄や財閥が入る鉄鋼系の労組。これらは、実態は自民党の手脚となっているわけだ。

 

 

 

 

そんな「ねじれの連合」の一丁目一番地は非正規労働者と正規労働者の「分断」だとみられている。この「分断」は、安倍晋三内閣が担当相まで設けてゴリ押しする「働き方改革」とは 違った味だ。先に述べたとおり、蜜月時代を築く両者は「官製春闘」や重要なテーマごとにコミニュケーションの場を開いており、ここへきて蓮舫氏が不快感を表明するくらいの著しい選挙への妨害や、自民党へ接近する事情は このあたりにありそうだ。すなわち、「分断」を薄くする「同一労働同一賃金」の成立をうけ、安倍晋三内閣が「連合の聖域」にたやすく侵入することを知った「連合」が、議論と法制化の場で、次は「ルールづくり」に参画したいのだ。

 

 

 

これと似たパッケージがTPP締結後のJA全中だった。数兆円単位に及ぶ関係団体への補填を 吸い付くために「TPP反対!」一色だった農業貴族が、こぞって自民党の部会や農水省に赴き陳情しているではないか。「強行採決」発言の大臣のパーティーに ちらほら出向き拝聴したのが旧「反対!」の業界人だった。これが「日本のリアル」だ。組織というのは特定のイデオローグに相対して存続しているのではなく、存続こそ組織だ。これが果たされるのであれば野党に混じって「反対!」を貫く、宣伝することに意味はない。だから、安倍晋三内閣がTPP締結後のTPP対策に手続きを移し業界団体が「反対!」から「ルールづくり」への参画に方針を変えるのは ごもっともだ。そう、「働き方改革」はGDPをカサ増しする以上に民進党の支持母体だった「連合」を組織論に従い傘下に収めるエサだったのである。

 

 

 

 

経営者、労働者、はたまた業界団体が大政党を一体的に支持する国は異様だろう。そしてそれは我が国においては他の人々を寄せ付けない、指揮網を備えた、再来の「21世紀の翼賛会」と呼ばれるだろう。