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なぜ、「官製価格」はいつも 大企業に有利なのか









総務大臣が一般人の喝采を浴びるべく指示−それが「ケータイ料金の引き下げ」だった。官僚からしても『実質ゼロ円』の携帯電話ショップは目の上のたんこぶ、だったわけで、かくして『官製春闘』を常套句とする この内閣は、携帯三社を呼びつけ“要請”したのである。

 〈菅義偉官房長官は16日午前の記者会見で、スマートフォンなど携帯電話の料金引き下げ策を議論する政府の有識者会議が報告書をまとめた件に関し、「利用者にとって分かりやすく納得のいく料金、サービスが実現されることが望ましい」と述べ、料金引き下げに改めて期待を示した/菅氏は「とりまとめを踏まえ総務省で年内に取り組み方針を策定する」と説明。これまで携帯各社の料金体系が類似していた現状を指摘し「国民の資産である電波を(携帯電話)事業者が利用している。その中で事業者が競争することは極めて重要だ」と強調した〉(2015年12月16日 配信『産経デジタル』)



日本の大手携帯三社は 公正取引委員会も「出入禁止」かと疑いをもたざるをえない。それほど寡占市場だからだ。
雇用者数はNTTドコモが約2万5000人、ソフトバンクが約1万7000人、KDDIが約1万9000人となっている。(いずれもグループ連結会社の総数)つまり、日本には、三社合計で 6万1000人に 及ぶ「携帯財閥」が存在するのである。




さて、この「携帯財閥」が 元締めだとすれば、蛇口から 流れゆく携帯マネーと一般利用者との接点は 携帯電話ショップとなる。総務省のデータによれば、ショップ数は1万6000店舗以上(携帯三社 系列店が占める)、従業員数は10万人以上だといい、うち、70%が女性らしい。「女性が活躍する社会」を身を以て実践する「携帯財閥」には官僚も頭が上がらないはず、だが、総務大臣の性別が女性とあえれば 「女の闘い」なのだろう。



ショップ数1万6000店舗、ということは、その不動産賃料はエンドユーザー(一般利用者)が負担する類いだ。大半のショップは商圏の一等地にあり、その地域経済効果は計り知れない。しかも、携帯電話が普及するまでには90年代後半までの時間を要し、ドコモ「iモード」(1999年開始)が ネット接続名目の起爆剤となったことを考慮すると、ショップの新規出店と売り上げ高急増は、ここ10年〜15年だ。すなわち、新しい業態にすぎない「携帯財閥」が、都市銀行・駅前支店と押しもされぬ勢力へ伸張したのは 実は最近の出来事なのである。





「日本の電話料金が高い」の原因は、「携帯財閥」をめぐる寡占化、不動産賃料、人件費だった。