いわゆる「補完戦力」、国際的には「衛星政党」だった(詳報)









メディアは国会構成を「一強多弱」と表現するが、「一強」の総数は「多弱」の数に匹敵する。
民主党幹事長・枝野幸男の呼ぶ いわゆる「自公補完勢力」(衛星政党)は日本の心を大切にする党、日本を元気にする会、新党改革だ。「元気」の井上義行氏が離党、自民党・無所属会派入りしたので 瓦解してしまったわけだが、別名「参院清和会」である。





衛星政党」は日本人に なじみが薄い用語だろう。事実上の一党独裁制を擁する巨大与党が、国内の反政府勢力や国際社会からの「目」をごまかすため演出する みかけの組織である。一般には中央アジア東南アジア開発独裁国に多くみられる。



自民党の「姉妹政党」としての概念では 次の例があげられる。70年代の新自由クラブ、2000年代の保守党が 該当するかと思われるが、いずれも閣内協力ないし閣外協力だった。ところが、与党の政策責任を共有しない「衛星政党」は、つねに非公式をしいられる存在だ。


具体的にみていこう。
新党改革の代表・荒井広幸氏は所属政党1名の ひとり党首にすぎない。社長1名、従業員1名の形態をとる有限会社も存在するから構わないのだが、要はそうした小所帯だ。政党助成法における政党要件「前回の国政選挙の有効得票率2.0パーセント以上」については2010年参院選の得票率2.01パーセントに依拠。ただし、略称を「ますぞえ新党」と総務省に届け出て却下された経緯からうかがえるとおり、その ほとんどは当時の代表・舛添要一氏人気であった。新聞各社の世論調査に おいて「新党改革」を支持政党に あげた有権者は「その他」に分類されてしまう。


荒井氏は2005年郵政総選挙の造反議員。ところが、復党こそしないものの、2012年以降は首相指名選挙や内閣府提出の予算案、平和安全法制の採決において すべて与党議員と同一だった。政治行動は与党そのものといってよい。



「日本の心」も、「元気」も、濃淡はあれ、政治行動は与党そのものである。「日本の心」は党首の中山恭子氏が閣内協力を打診したらしい。昨年12月22日には党名変更の記者会見で「日本の伝統文化や穏やかさなど日本人の精神の基礎にあるものが失われつつある」と語ったが、旧所属議員の園田博之平沼赳夫藤井孝男各氏ら自民党復党オンパレードであり、両党間の人的な流動性が顕著にみられ、だれがどうみても「野党」ではない。




また、活動実体が極めて不明だ。「日本の心」の主な資金源は前党首の平沼氏が貸し付けた ものであるし、新党改革政治資金の迂回が報じらている。http://www.sankei.com/smp/affairs/news/141128/afr1411280034-s.html



日本における「衛星政党」は選挙を戦い抜くことが極めて難しい。小選挙区制や比例ブロック制が関係している。「与党の別働隊」として首班選挙や法律案、なにより、委員会質問で「与党を利する」活動を おこない、そうして選挙前に自らの「仕事」と引き換えに申請するグリーン・カードが「復党」と「無所属会派入り」というわけだ。


現に、新党改革荒井広幸氏は自民党に「復党」する見込み。比例区選出のため一度 議員辞職し、衆参同日選のケースでは福島県内の選挙区から自民党公認によって出馬するだろう。「日本の心」は参院選後、解党した上、一部が自民党に合流する。「元気」は 「所属議員5人以上」の政党要件を失ってしまったので「無所属会派入り」がメインだろう。